こばると歴史探訪ログ

関西の史跡や寺社を訪れた記録です

農耕と戦争

キングダムのアニメを見ていて、いつの時代の話かなと、あらためて調べてみました。

 

「キングダム アニメ」の画像検索結果

 

秦の始皇帝が中国を統一するまでの話なので、秦の始皇帝が生まれたのは、紀元前259年、在位が紀元前246年(13歳のとき)、中国統一が紀元前221年(38歳のとき)、紀元前210年に49歳で死去とあります。

 

中国史は記録が多くて信用できると思いますし、あれだけ大きな始皇帝陵が発掘されたのですから、脚色はあったとしても始皇帝は存在していたのです。

 

そしてアニメやマンガでの表現が、どれくらいその時の状況に近いのかはわかりませんが、紀元前のその当時、中国は春秋戦国時代で国と国が争っていたことは間違いないので、小競り合いから大規模な戦闘まで、人間同士の殺し合いが行われていたわけです。

 

武器や戦術、戦略も、すでに高度に発展していました。組織化された軍隊同士の激しい戦いがあったのです。

 

太古から人間はお互いを殺しあってきました。人間は生来的に殺しあう生き物で、残酷な悪魔のような存在なのでしょうか。それが人間の本質なのでしょうか。

 

最近読んでいた本で、人が殺しあうようになった最大の要因は農耕である、という説明を読みました。

 

戦争の原因が農耕なんて、ちょっと意外じゃないでしょうか?大抵の人は、「農耕民族=平和的」「狩猟民族=好戦的」というようなイメージを持っていると思います。


その先入観は、ドラマとか時代劇から来ているのでしょうね。例えば、平和的なおとなしい農民が、馬に乗ってる武力集団から虐げられてるシーンはよく見ます。また、自然を相手に一生懸命、植物を育てているほうが、鳥や獣を殺害して食する狩人よりも、平和的な印象があります。


しかし実のところ、人間が好戦的になって、戦争という集団的な殺し合いを始めたのは、農耕を始めるようになったから、という説明ができるのです。


話の筋はこうです。

 

農耕をする前、人間は山で木の実を拾ったり、獣を捕まえたり、魚を取って食べていました。縄文時代の日本人は、そのように生活をしていました。その頃の縄文人は争いを好まず、平和的に生活していました。

 

やがて弥生人が大陸から入ってきました。稲作など農耕技術も一緒に日本へ持ち込まれました。縄文人のその日暮らしの生活よりも、農耕栽培した穀物を備蓄する弥生人のほうが、安定した食料を得る事ができるため、やがて弥生人の数が上回っていきます。


農耕を行う弥生人は、作物を育てる場所に定住し、そこに弥生人コミュニティが生まれます。

 

小さくても人間の集団が出来ると、人間同士において力関係が生まれます。人間同士の争いの種も生まれ、力の強い人間が集団のトップになり、他のメンバーを支配する構図が生まれます。

 

また食物が安定する事によって、人口が増え、集団の規模も大きくなってきます。人の数が増えると、新たな食料を栽培する土地が必要になります。土地を広げるか、新らしい場所に移動する必要があります。

 

そこで、他の土地の集団との土地や水をめぐる争いごとが生まれます。小競り合いは、感情的な衝突から、暴力へと変わり、集団同士の血で血を洗う争いごとに発展していきます。

 

その規模が大きくなると国家間の戦争になるという仕組みです。

 

また食料が保存できると、様々な仕事にも手が回るようになります、家をつくったり、道具をつくったりできるようになります。武器を作る人も出てきます。武器が発達すると、争いも有利になります。殺戮も効率的になってゆきます。

 
そういう説明を読んでいて、ああ、なるほど確かにそうだなあ、と思いました。

 

日本の各地の遺跡からも、それが証明されているそうです。縄文時代に埋葬されている人体には、殺害された痕跡はあまり見られないのに、弥生時代の遺跡では、殺害されている遺体が大量に増えているそうです。

 

最近のニュースで、縄文人のDNAの話がありますが、日本人は縄文人と弥生人の文化の混合です。弥生時代は紀元前5世紀くらいから始まったといわれています。

 

キングダムの紀元前3世紀くらいは、弥生時代の末期に近づいてきているくらいでしょうか。


その頃から、集団殺戮が起こり始めた時代であることも、わかっています。そして魏志倭人伝によると、倭国の大乱が起きて、それをとりまとめて、争いごとを終わらせたのが卑弥呼であるといわれています。

 

それが3世紀ごろ。

 

卑弥呼は景初2年(238年)以降、帯方郡を通じて魏に使者を送り、皇帝から「親魏倭王」に任じられました。

 

卑弥呼の時代と、神武天皇の時代の関係についてどうなんでしょう。しっくりくる学説ってないですね。もやもやします。