こばると歴史探訪ログ

関西の史跡や寺社を訪れた記録です

西国三十三所巡礼③

令和三年になってから一月ももう終わりです。去年から始めた西国三十三所の巡礼は、初詣を兼ねて二十七番までお参りしました。

 

まとめて記事にします。

 

第十五番  今熊野観音寺

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空海が開基し後白河法皇が保護した由緒あるお寺です。熊野と名前がついていて、遠い和歌山の熊野への参拝に行けないかわりに、というお寺だったのでしょう。参拝客は多く、観光地というより京都の地元の人に愛されているお寺です。



第十六番  清水寺

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こちらは観光地として有名なお寺です。清水の舞台は見晴らしがよく、いつも観光客であふれているお寺ですが、現在はコロナ禍で京都への観光客が激減しているため、昼間に行っても人影がまばらでした。早くコロナの流行がおさまりますように。

 


第十七番  六波羅蜜寺

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平安時代の初めに尊敬を集めた聖のひとり、空也さんが開基したお寺です。昔のお坊さんは、修行だけでなく、井戸掘りや河川の整備など、人々の役に立つ公共事業に熱心でした。奈良の行基さんも有名ですね。朱色が目に眩しいお寺でした。



第十八番  六角堂 頂法寺

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京都の街なかにあるお寺です。華道池坊の総本山だそうです。知らなかったのですが、華道はもともと仏教でお花を仏様に供えるのが始まりとのこと。華道は現在芸術的な位置づけですが、始まりは宗教的な作法だったのですね。お寺はビルに囲まれています。

 


第十九番  革堂 行願寺

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京都寺町にあるお寺です。開基の上円上人のエピソードが印象的です。若い頃に狩猟が好きだった上円さんは、ある日鹿を仕留めます。その鹿は出産間近で、裂けたお腹から小鹿が出てきました。母鹿は激痛に堪えながらも必死で子供をなめ続けて息絶えたそうです。それを見ていた上円さんは、殺生を猛烈に悔いて仏門に入りました。母鹿のことを忘れまいと、鹿の革の裏にお経を書いたものを身にまとい、諸国を巡り歩きました。革堂というのはそういうところからのネーミングです。この時代のお坊さんには、尊敬されるカリスマ性がありました。

 


第二十番  善峯寺

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京都の西にある山の上にあるお寺です。源算上人が開祖。末法思想が広がった平安時代には誰しも阿弥陀仏を唱えれば極楽浄土に行けるという信仰が人々に広まりました。浄土真宗では西方に極楽浄土があるとう思想があり、平安京の西にあるこの場所は聖なる場所となりました。

 

お寺は山上にあり、見晴らしのよい場所にあります。空気も綺麗で、行ってみてよかったお寺でした。バイクでも行けます。



第二十一番  穴太寺

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亀岡市にある小さなお寺です。「身代わり観音」で有名なお寺。地元の有力者が仏様の作成を仏師に依頼し、見事な仕事の褒美に馬を与えます。あとで惜しくなって、闇討ちして弓矢で殺そうとするのですが、仏師のかわりに観音像が射抜かれていました。病気や戦乱によって、命が失われていた時代に、観音様は人々の心の拠り所だったのでしょう。

 

華美なところが全くない、落ち着いた感じのお寺です。

 


第二十二番  総持寺

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大阪府茨木市にあるお寺です。山陰流庖丁式で有名。手で直接食材に触れずに魚をさばく儀式です。室町時代からのお寺のようです。大阪のお寺らしくちょっと派手な印象です。



第二十三番  勝尾寺

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大阪府の北の箕面山中にあります。商売繁盛のイメージが強いお寺で、大阪人に人気です。バイク通行禁止のため引き返し、後日あらためて車で訪問しました。広い敷地内にスピーカーが配置され、いつも読経が流れています。お布施すると自分の名前と願いが境内に大きな声で流れます。その音のせいで、他にはない独特の雰囲気があります。また、境内にはあちこち達磨がおかれています。「極楽浄土よりも現世の御利益」という大阪人魂を感じます。もともとは山林修行のメッカであったのに、どのような遍歴を経てこうなってしまったのでしょう??

 

第二十四番  中山寺

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宝塚市にある有名なお寺です。参拝客が多く、お寺内にエスカレーターとかあり、お寺も儲かっている印象です。開基は聖徳太子で、滅ぼした物部守屋の霊を慰める目的もあったとか。どうしてこんな場所にと思いましたが、当時はこのお寺の近くまで中州があって、大陸との交流における船着き場だったそうです。

 

第二十五番  播州清水寺

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 兵庫県にある清水寺です。清水と名がつくお寺は全国で60箇所くらいあるようです。そこそこ山を登った場所にありますが、道路がしっかりと整備されていますので、車なら問題なく行けます。このあたりはよくバイクで走っているのですが、このお寺のことは全く知りませんでした。山と一体化している境内の地形から、修験道の行場であったということがよくわかります。

 


第二十六番  一乗寺

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兵庫県加西市にあります。飛鳥時代に法道仙人が開基されたとされる古いお寺です。法道さんはインドで修業し、空を飛んだり鉄鉢や米俵を飛ばしたりする超能力がありました。信貴山縁起にも似たような話です。荘厳で落ち着いた雰囲気でした。



第二十七番  圓教寺

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兵庫県姫路市にあります。三十三所ではもっとも西に在るお寺。書寫山の山中にあり、ロープウェーを使って登ります。山頂駅からお寺までも距離がありますが、車で送ってくれるサービスがありましたので利用しました。

 

空上人が開祖です。貴族出身であるのに地方でで修業し超能力を得たという噂が広まり、都で有名人になりました。権力争い敗れ、引退した後に三十三所を始めた花山法皇がしばらくこの地に留まったそうです。

 

秀吉の中国攻めの際に、拠点にされた場所であるそうです。大阪からだいぶ離れていますが、わざわざ訪れた価値はありました。